髪結い伊三次捕物余話シリーズの八作目。
不幸体質でちょっと世を拗ねた感じの伊三次と、それを有無を言わせない力で押さえつけ小者として使う定廻り同心の不破友之進、というちょっと危なっかしい構図が好きだったのに、ふたりともなんだか丸くなっちゃったみたい。
最近は不破の息子である龍之進が主役の話がほとんどだし、そろそろ世代交代なのかな?
ちょっとさびしいけど、伊三次が龍之進の下で引き続き小者を続けるならそれはそれでおいしいかも。
年下の龍之進にあごで使われる伊三次……いーかもー!主従とか身分差とか、そういうの大好きです。
龍之進は16歳ながら六尺(約182センチ)あるし武士としての矜持も強そうだから、いろんな意味で将来有望で期待大です。
今回のお話は「明烏」がほかの話とは異色で、ちょっと不思議な話だったので印象に残ってます。
大店の娘として商家のお内儀に収まる人生を選ぶか、貧しくても伊三次と一緒になる人生を選ぶか……人生の分岐点で過去には選ばなかった方の道に迷い込んだお文。
あの時ああしておけばよかった、とあとになって思うことは誰しもあることだけど、そんなことは考えるだけ無駄。「わっちはわっちの信じた道を行く」と啖呵を切ったお文姐さんが格好よかったです。
廻り髪結いを生業としながらも八丁堀役人の小者として働く伊三次、伊三次と恋仲の芸者お文、定廻り同心の不破。恋と人情と捕物と……髪結い伊三次捕物余話シリーズは、江戸を舞台にした時代小説の連作短編集です。
私は特に、初期のお話(伊三次とお文が別れる別れないですったもんだしてた時の話)が好き。
シリーズの一作目はこちらです。↓