2006年公開の映画「ゆれる」を監督自身が小説化。
見たい見たいと思いつつそのままになってしまった映画……結局、映画よりも先に小説を読んでしまいました。
なんでそんなに気になっていたかというと、私が好きな兄弟ものの匂いがぷんぷんしたからです!
故郷である田舎町を嫌って都会へ出た奔放な弟・猛と、家業を継いで町に残った実直な兄・稔。
兄弟は幼なじみだった智恵子と3人で渓谷へと出かけるが、智恵子はそこで吊り橋から転落して帰らぬ人となる――事件なのか、事故なのか。
殺人の疑いをかけられた兄を助けるため猛は奔走するが……。人の心は些細なことでゆれる。一度ゆれれば際限なく波及して、信頼を疑いへ、愛情を嫌悪へと変えてしまうこともある。
正反対の性格、対照的な人生を歩みながらも、仲のいい兄弟だった稔と猛。
その関係が、ある事件をきっかけにゆれ始め、しだいに変容していく様子が各人の独白というかたちで綴られていく。変容というか、元からあったのに気付かないふりをしていたものが、ついに露呈したという感じ。
実直で誠実な兄に負い目を感じながら、一方でその真面目さゆえの不器用さに優越感を持っていた弟。
自由に生きる弟に憧れ、誇りに思いながらも、心の内に暗い感情を育てた兄。
「兄は事件を起こして、全てをぶち壊して、僕を惑わそうとしているんだ。これは兄の復讐です。兄は僕のことが憎くてたまらないのです……。
けれどほんとう?ほんとうに?ほんとなの兄ちゃん。
悪いのは俺でかまわない。智恵子を殺してたって、もうかまわない。あんた、俺のこと一体どう思ってたの?」互いに互いを想いながら、どうしようもないほどすれ違っていくふたりが悲しい。
映画を見た人はこの本を読むことで、本を読んだ人は映画を見ることで、互いの内容が補完されて物語への興味と理解がさらに深まるんじゃないかな。
と、いうわけでこちらもどうぞ。↓